コンサルタントってどんな人?

衣川いずみは、
こんな経験を積んできました。

1994年~1999年 
マエカワ時代

食品衛生の分野に進みたくて、ご縁あって、株式会社前川製作所フードエンジニアリングに就職しました。
会社は食品工場の加工機械や冷凍機を製造するメーカーで、お客様が食品工場でした。
私は、食品工場の衛生調査(落下菌やふき取り検査、工場衛生点検など)をおこなって、施設・設備の衛生改善を提案する業務に従事していました。
食品工場のハード(施設・設備)に関する知識は、この時に勉強しました。

1995年に日本食品保全研究会でHACCPシステムを勉強し、総合衛生管理製造過程(丸総)の承認制度が始まると、顧客である食品工場のHACCP構築支援を始めました。
会社はアメリカにも展開していたので、アメリカの食品工場の衛生調査に入る機会も何度かあり、その時、アメリカのHACCPの考え方を学びました。
日本に比べると、アメリカのHACCPはとても柔軟で合理的な考え方をしていました。
本来のHACCPは日本のように型にはめたものではなく、工場ごとに必要な管理を選択できるものなのだ、と学びました。

この時代、人生の転機となったのは、食品安全の異業種ネットワークである食品安全ネットワークに参加するようになったことです。
著名なコンサルタントの先生方に囲まれ、様々な影響を受けつつ、自分が持っている技術を仕事にできたら良いなと思うようになり、コンサルタントを目指すようになりました。

この頃から、HACCPを指導する中で悩むようになってきました。
現場経験がないため、あるべき論は言えても、具体的な解決策を示すことができないことにジレンマを感じていたのです。

1999年~2004年末 
CoCo壱番屋 時代

現場経験が積みたくて、1999年に株式会社壱番屋に転職しました。
会社が上場に際して、工場へのHACCP導入を希望しており、HACCP担当として採用されました。
ここで私は大きな挫折を味わい、貴重な経験をしました。

HACCPの書類自体は作り慣れていたので、半年もかからず完成させることができました。
丸総の承認対象品目ではなかったため、あくまで自主導入だったのですが、管轄保健所の先生に来ていただいて、構築したシステムを点検していただけることになりました。
書類自体はほぼ指摘なく、先生からも「もし対象品目なら承認されるレベル」とお墨付きを戴きました。
が、雲行きが怪しくなったのは、それらの書類を持って製造現場に入ってからです。
その日も、現場はあわただしく製造しており、パートさんがバタバタと動き回っていました。
段ボールを触ったら都度、手にアルコール消毒するという規定があるにもかかわらず、誰もやっていませんでした。
先生に「衣川さん、書類はいいけど、もっと現場を指導しないと」とお小言を言われて撃沈しました。

当時、私は書類を作ることがHACCPだと思っていました。
見栄えのいい、理想を描いたルールを文書化し、現場との乖離は明らかでした。
さらにショックだったのは、現場が「HACCPなんかやっても、なんも変わらんわ!」と陰口を言ってることを後で知りました。
私は書類を一人で作って満足していたにすぎず、現場を上手に巻き込めていませんでした。

当時、HACCPは最強のシステムで、HACCPをやれば食品安全を100%保証できると信じていましたが、苦情件数は全く減らず、製品回収(店舗回収)も2度経験しました。
思ったような結果が出ず、試行錯誤する中で、7S活動(当時は、7Sという言葉がなく、食品衛生新5Sと言われていました)に行きつきました。
HACCPシステムを運用しながら、現場は7Sを推進する。
この両輪を廻すことで、現場のレベルも上がり、システムと現場が上手く連動して機能するようになりました。

そうすると、苦情やトラブルも徐々に減ってきました。
一番うれしかったのは、パートさんから、「昔は、こんなやり方でいいのかと疑問に思いながら製造してたけど、今は自分が作っている商品を自信をもって親族や友達に紹介できる。」と言ってくれたことでした。
HACCPは書類じゃない。
いかに現場にシステムを落とし込むか、その重要性を学びました。

この時代、私はしょっちゅう現場に入っていました。
夕方の洗浄時間に入ると、現場に入って掃除を手伝っていました。
製造設備は一通り分解方法を学びました。
機械構造を把握したうえで、洗いにくい箇所はどこか、今の洗剤や洗浄用具で適切な洗浄ができるかなど、現場で検証していました。
今、私が若い品管の皆さんによく言うのは、「現場で泥にまみれろ」です。
食品製造の現場に泥はありませんが、現場従事者とともに苦労する、その姿が現場を動かし、理解を深めるのだと思います。
そういう意味で、私はちょっとうざいコンサルです。

3年、工場の管理経験を積んだのち、当時、製造部配下だった品質管理課を社長直下の品質保証部に格上げすることを、社長に提案し採用されました。
その結果、自ら提案した外注先の品質監査を行う部署を立ち上げ、監査体制を確立しました。

同時期、ISO9001の審査員資格を取得し、ISO9001の審査活動を始めました。

2005年~2006年 
マエカワに戻る

現場経験を活かして、コンサルティングをやりたいと思うようになり、ISOのコンサルティング活動をおこなっていたマエカワに出戻ることになりました。
7S活動やHACCP、ISO22000のコンサルティング業務と並行して、ISO9001と22000の審査業務をおこなうようになりました。

2006年~ 独立

2006年に食品安全・品質管理のコンサルティング会社、株式会社QA-テクノサポートを設立し、現在に至ります。
マネジメントシステムのコンサルティング、審査業務、研修講師のほか、大きな食品事故を起こした企業の第三者委員会の一人として、食品事故からの企業再生を何度か支援してきました。

コンサルティングで気を付けていることは、あるべき論だけのコンサルタントにはなりたくなので、現場の実情を踏まえて、実現可能な解決策を常に考えています。
マエカワで得たハードの知識、多業種の調査経験、アメリカのHACCP、そして、壱番屋での実務経験、失敗経験、これらを活かして、色々な解決策(引き出し)を持っています。
システムの答えは一つではないので、個々の企業の特性に合ったシステムを提案しています。

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